「新潟県農業総合研究所食品研究センターの食品産業への技術支援について」
新潟県農業総合研究所食品研究センター
主任研究員 小林和也/技術士(生物工学部門)
講演内容
・新潟県における食品産業等の概要 新潟県農業総合研究所の紹介
・食品研究センターの技術開発事例 開発技術の普及に向けた取組
・にいがたフードテック研究会での活動 ・総括
経歴 省略 2023年3月 技術士(生物工学部門)登録
納豆菌、麹菌、乳酸菌、酵母 ・・・フードテック お酒以外は大体なんでもやります
食品産業は、新潟県の主要産業である。・・・・製造品出荷額等4丁7533億円
食品等 18.6% 従業員 19.6% 重要な産業
(令和3年経済センサス)
従業員 30人未満 小規模事業所 約7割 製造出荷額 約2割もない
・食品産業のイノベ―ベーション アンケート調査 細部省略
コストダウン、工程改善、販路拡大 商品開発 商品改良 営業力強化 衛生管理の強化 流通改善 新しい製造技術の開発・導入 販路拡大(海外) 産官学の連携
赤字の部門が私の担当 あまり関心がないか
・収益向上にも関心がない
新潟県農業総合研究所・・・省略 農業総務部 政策室にも勤務
新潟県農業総合研究所のミッション・・・農業算出額等2770億円 (2024年度)
令和5年度 上記研究所の試験研究の取り組み 赤印担当者の仕事の範囲
県産農産物の競争力強化 ・・品種改良 フードテック研究
生産現場の抱える問題の解決・・・・・水稲、園芸、畜産及
び食品産業の振興
持続可能な農業・食品産業 ・・・・カーボンニュートラル
化学肥料・農薬低減
スマート農業技術
食品研究センターの主要な研究成果⇒企業との連携が欠かせない
米粉・米粉パン、無菌包装米飯 魚醤油、無塩味噌、米由来のしょうゆ、「ル レクチェ」、笹団子、無菌包装餅、マイタケ、乳酸発酵甘酒、介護食品、柿渋麺
紹介する3事例
事例1.無塩大豆発酵食品(無塩みそ)⇒食塩を代替する微生物制御技術の確立
特許第5919457号 新潟県・石山味噌醤油(株)
味噌の無塩化・・・・用途拡大 様々な食品に添加 非耐塩微
生物の利用
健康志向 厳密な塩分調整可能
既存技術と課題(研究当時の水準) 多数あり省略
- みそ製造業者に採用できる技術 ②みそらしい風味再現 ③無塩の環境で腐造を防止する
課題の解決策(開発した技術)
米味噌の製造法 発酵熟成 から単行複発酵に
上市した製品紹介 塩分ゼロ 石山味噌醤油(株)から製造・販売している
・厳密な減塩生活への利用(腎臓病患者向け)
・みそ風味のお菓子の原料 等に販売されている。
事例2.大豆・小麦を使わないしょうゆ⇒大豆・小麦を代替する着色成分の供給
特許第6967244号 新潟県・山崎醸造(株)
既存技術と課題(研究当時の水準)
開発技術 米麹+酒粕 ペントースの乏しい系での着色の実現が技術的な課題
課題の解決策(開発した技術)
提案した改良 ・・・・褐変した原料を加える 再仕込みしょうゆの技術の転用
上市した製品紹介・・・山崎醸造(株)からから製造・販売している
・通販を中心 ・仕込み量が少ないので、品薄傾向
事例3.米マヨネーズ⇒卵を代替する乳化素材の選定
現在、上市に向けて技術支援中
全て米由来の素材から製造すれば、特定原材料等を含まないのでアレルゲンフリーに
技術的な課題の抽出・・・・・米由来の乳化素材
課題の解決策(開発した技術)
発酵食品には乳化力がある
米マヨネーズには、来年度中の販売に向けて支援中 事例終了
研究成果の普及も研究員の仕事
・企業への情報発信は難しい・・・県の研究成果情報 特許出願 展示会等しても効果が上がらない
・さらに、県内食品産業の状況も変容・・・以前は企業がまとまって課題を克服から個別に対応して支援になった。時代は変わった
県内企業との連携を狙った事業の紹介
新潟県食品加工技術研究会 にいがたフードテック研究会で行う。
事業のねらい・・・産学官連携の拠点づくり・・・セミナー開催を通じて情報提供
分科会活動・・・ブラントベースフード/代替え食・・・米
を用いた乳化素材
・食品のアップサイクル ・微生物利用・発酵
組織 ・・・会員数は37団体(52名)・・・・大学、
企業および官公庁が参加
まとめ
・新潟県 食品産業が製造業で最も出荷額が多い 中小・零細企業の生産性は低い
・しかし、事業者はコストダウン志向が強く、新しい技術の導入による付加価値向上に対する機運が低い
・当センターは研究成果が企業に活用されることが使命であるため、企業との連携が 欠かせない
・演者が取り組んできた業務でも共同研究開発した技術は速やかに企業が活用している。また、これらの業務では、原料の変更により損なわれる機能を補うノウハウが活用されてきた
・現在から企業と連携できる体制づくりを進めている。
感想:かなり良く整備されているが、新潟県の食品産業自体が衰退していると思われるがどう克服するか課題が大きい。また、米を含む価格が下落しており新潟県の所得の総額が減少をどう克服するか 新潟県や国で解決する課題であろうか。以上