話題のタンパク質商品とタンパク質の栄養とその働きとは、 技術士(農業部門) 鈴木 修武 (鈴木修武技術士事務所)
60年前の遠い昔の学生だった時に、オパーリンの生命のある所に蛋白があると学んだ。老化を防ぐ秘策は、食事と料理、睡眠、運動といわれている。前回、脂肪(油脂)を書いたので、今回はタンパク質を書く。
特に中高年では、タンパク質が不足するとサイコペニアからフレイルになり、色々な障害が起こり病気や寿命にも影響する。そこで、タンパク質関連商品がテレビ、ネット、雑誌などで話題になっており注目のタンパク質商品などとタンパク質の食べ方と必要量、その重要性をなるべく優しく網羅的に述べたい。
1.最近、注目される高タンパク質食品は・・・
注目食品は、A社豆腐バーは、従来の豆腐の概念を変えた。硬い豆腐で、具材と味付けを工夫をしている。枝豆+レンコン、枝豆+ヒジキは当たり前だが、若者向けに、スイートポテトやバジルソルト風味など11種類がある。現時点で7500万本のヒット商品であり、試食するとこれだけでも食べられ副菜やつまみにもなっている。S社の焼きかまステックバーは水練り版である。P社のサラダチキンバーとI社のサラダチキンは鶏肉版である。これらの品々は食べやすく味もまずまずで手軽にタンパク質を食べられる。D社のオイコスは発酵乳に脱脂蛋白を入れて、脂質0にしており、少し硬いのが難点か。M社のザバスは、高タンパク質の乳酸飲料で風味もマスカット味で飲みやすい。筆者も元開発者で売れている商品の関連を開発せよと言われたことを思い出した。開発者よ!頑張れと言いたい。スーパーではこれらの商品をまとめ買いの対象になっており2倍の売り上げアップとテレビで知った。
2.体を作る素となるタンパク質の種類と消化・分解とその合成とは
体重が70Kgであれば、1kgに付き約0.8~1.2g必要であることからタンパク質は1日に70g必要である。年齢、仕事の強度によりこの量が違うが体重kgに対して約1.0g必要と知っておくと良い。
食事として摂るタンパク質には、動物性と植物性タンパク質があり、比率は1対1が良い。動物性タンパク質は、卵類、肉類、乳製品、魚介類で、成長段階では45%で、成人では40%以上が望ましい。アミノ酸の種類と含有量が違うからである。植物性タンパク質は、小麦、米、トウモロコシなどの穀類だが、リジン、スレオニン、トリプトファンが少ないので成長時には、動物性が必要である。必須アミノ酸は上記以外に全部で9種類ある。
また、食品に含まれる必須アミノ酸のバランスの指標として「アミノ酸スコア」
があり、満点の100の食べ物は大豆、卵、牛・豚・鶏の肉類、鮭などの魚類、牛乳も含まれるので知っていると便利である。
食事として摂取するタンパク質は、消化されると筋肉、血液、臓器、毛髪、骨などになり、生体を維持する酵素やホルモンにもなり、生命にとって必要不可欠である。消化と吸収されたタンパク質は、胃の酵素によりある程度分解されて、腸に送られて、アミノ酸やペプチドなどになり吸収される。門脈から肝臓に送られ貯蔵されて栄養の素になる。貯蔵されたアミノ酸は、個々の臓器で体に必要な基幹になる。そこでは、生命の設計図であるDNAからmRNAに転写されて、細胞のリボゾームでアミノ酸からペプチドやタンパク質に合成されて各種基幹になり活躍する。使われた基幹のアミノ酸は、オートファージにより分解されてリサイクルして再利用される。この再利用の量は2/3で摂取されるタンパク質より多いから継続的なバランスされた食事が必要である。
3.何をどれだけ食べたらよいか。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)によれば、タンパク質と脂質の目標量の下限と上限値があり、それぞれタンパク質(15%と20%エネルギー)と脂質(20%と30%エネルギー)で、炭水化物(65%と50%)になる。まともな日本型の食事をしていれば合格と考える。炭水化物ダイエットがあるが、体重量約1割を占める脳は炭水化物から分解されたブドウ糖しか利用できず、カロリーは、摂取量として約2割必要で少ないと生命の維持すらできない。
タンパク質も同様であるが、注意点は取れば摂るほど良いのではなく、約20%が上限で、腎疾患のある人は医師と相談してほしい。
基本的には、日常の食事でタンパク質を採れば良い。筆者の例を挙げれば、朝食ご飯、煮豆+こんぶ、卵焼き+ハム+サラダ菜、豆腐みそ汁で18.5g。昼食(うどん、油揚げ1枚+椎茸+のりで8.5g、夕食:豚肉の生姜焼き、豆腐、わかめの味噌汁で21.0gの献立でタンパク質合計48g。タンパク質重量は商品の栄養成分表と食品成分表で計算した。体重が52Kgでほぼ合格である。上記の注目商品は少ないと思ったら補助的に利用するなど気軽に摂ればよいでしょうか。文責 鈴木修武